「損益分岐点分析…経営安全率の算出方法(導き方)」

 

2021年(令和3年)8月4日(最終更新2021年8月8日)

寺田 誠一(公認会計士・税理士)

 

 

損益分岐点分析

 

① 損益分岐点

 

 損益分岐点分析を行うことにより、その企業の採算ラインや利益の構造についての現状認識ができます。また、短期的な利益計画に利用することもできます。

 損益分岐点とは、売上高と費用が等しくなる点をいいます。利益が0になる売上高のことです。

 損益分岐点を求める式は、次のとおりです。

 

 損益分岐点を求めるためには、費用を固定費と変動費に区分する必要があります(この場合の費用は、通常、経常利益の段階までの費用)。固定費とは、売上高の増減とは無関係に生ずる費用をいいます。地代家賃、減価償却費、保険料、支払利息等です。人件費も、その多くは固定費です。変動費とは、売上高に比例して増減する費用をいいます。仕入高、外注費、販売手数料等です。

 実際には、固定費なのか変動費なのか、区別が付きにくく判断に迷う場合があります。その場合には、固定費としておきます。

固定費と変動費を区分するためには、各種の手法があります。しかし、実務的には、この区分に時間をかけるべきではないので、正確性を少し欠いてもかまいません。たとえば、一番簡単なのは、損益計算書の売上総利益までの費用は変動費とし、販売費及び一般管理費と営業外費用(営業外収益は営業外費用より差し引き)は固定費とする方法です。

 損益分岐点を求める計算は、次のとおりです。

 なお、売上高-変動費を限界利益、限界利益/売上高を限界利益率と呼ぶので、損益分岐点は、次のようにいいかえることができます。

 上記の損益分岐点図表(対角線が売上の線、変動費と固定費を足したものが費用の線)からわかるように、損益分岐点を超える売上高①では利益が生じ、損益分岐点より少ない売上高②では固定費をカバーできないので損失が生じます。したがって、損益分岐点は低い方が、利益が生じやすくなります。

 損益分岐点を下げるには、固定費を小さくするか、限界利益率を上げる(変動費率を下げる)ことが必要です。

 

 なお、ある一定の利益を獲得するための目標売上高は、次の式によって求められます。

 

 

② 経営安全率

 

 損益分岐点に関連して、経営のゆとりを見る経営安全率という指標があります。経営安全率とは、現在の売上高が損益分岐点の売上高を超えている場合、その超過額の現在の売上高に対する比率をいいます。

 経営安全率だけ売上高が減少すると、利益0になるということです。たとえば、経営安全率が5%ということは、売上が5%減ると利益0になり、5%を超えて減少すると損失(赤字)になります。したがって、経営安全率は高い方が企業は安泰ということがいえます。

 

 経営安全率は、また、次の式によっても表されます。

 

 この式の算出方法(求め方、導き方)は、次のとおりです。

 

 

 

※本稿は、次の拙稿を加筆修正したものです。

寺田誠一稿『簿記3級レベルでわかる決算書の見方のキホン 第3部 決算書の分析』月刊スタッフアドバイザー 2014年2月号 

 

 

※このウェブサイトの趣旨については、「ご挨拶」参照。