「未収還付法人税等を未計上・計上・概算計上の申告書設例」

 

2021年(令和3年)9月13日(最終更新2021年10月10日)

寺田 誠一

 

 

・中間申告

 

 会社は、通常、第2期からは中間申告(および中間納付)が必要となります。正確には、前事業年度の法人税に6/前事業年度の月数を乗じた額が10万円を超える場合に、中間申告が必要となります。

前事業年度の法人税×6/前事業年度の月数 ≻ 100,000円

 10万円以下の場合には、中間申告は不要です。前事業年度が1年の場合には、前事業年度の法人税が20万円を超えるか20万円以下かで、要不要が決まります。

 

 中間申告には、予定申告と仮決算による申告の2つの方法があります。通常、簡単なので予定申告を用います。

① 予定申告

 前事業年度の法人税×6/前事業年度の月数=税額

② 仮決算による申告

 期首から6か月間を1事業年度とみなして、税額を計算

 

 予定申告は、申告書を提出しないで、納付だけ行うこともできます。期限内(※)に仮決算による申告をしなかった場合には、予定申告をしたと見なされるからです。

※事業年度開始後6か月を経過した日から2か月以内

 

 法人税で中間申告が必要な場合には、地方法人税・法人県民税・法人市民税・法人事業税(特別法人事業税を含みます。)も、中間申告が必要となります。これらは、連動しています。

 

 中間申告は決算における申告の前払いですから、決算においてはその差額を納付することになります。たとえば、法人税等を中間で60万円納付しており、決算において1年分の金額が100万円と算出されれば、差額40万円を決算で納めることになります。もし、中間で60万円納付しており、決算において40万円と算出されれば、差額20万円は還付されます。

 

 

 以下、中間納付の還付額がある場合、法人税申告書別表四と五(一)の異同点を、同じ条件の設例で見て行きたいと思います。

設例1:未収還付法人税等の計上を行わない場合

設例2:未収還付法人税等の計上を正確に行う場合

設例3:未収還付法人税等の計上を概算で行う場合

 

 

・設例1(未収還付法人税等の計上を行わない場合)

 

(設例1)

 第2期中間で支払った法人税等は、次のとおり(損益計算書の法人税等に計上。)。金額の単位省略(以下、同じ。)。

法人税4,500(地方法人税を含む。)

法人県民税250

法人市民税600

法人事業税1,200(特別法人事業税を含む。)

(合計6,550)

 

第2期の税引後の当期純利益10,000  繰越利益剰余金10,000

(第1期の利益は0、第1期の法人税等は0、第2期期首利益積立金は0と仮定。つまり、均等割は無視。)

 

 第2期の決算における税金の還付額(実際の入金は第3期)は次のとおり。第2期で未収還付法人税等の計上は行わず。

法人税850

法人県民税60

法人市民税150

法人事業税250

(合計1,310)

  

 第3期の決算は、次のとおり。第3期において、第2期分税金還付の会計処理を行う。

還付税金計上後の当期純利益200  繰越利益剰余金10,200

(繰越利益10,200=第2期利益10,000+第3期利益200)

第3期の法人税等は0と仮定(均等割は無視。)。

 

 第2期と第3期の別表四と五(一)は、どのようになりますか。

 

設例1 第2期の別表四

       

  

       

  

社外流出

当期利益

10,000

10,000

 

加算

損金経理法人税

4,500

4,500

 

損金経理県市民税

850

850

 

減算

 

 

 

 

所得金額

15,350

15,350

 

 

設例1 第2期の別表五() 

     

期首利益積立金

当期の増減

翌期首利益積立金

     減

     増

未収還付法人税

 

 

850

850

未収還付道府県民税

 

 

60

60

未収還付市町村民税

 

 

150

150

繰越損益金

 

 

10,000

10,000

納税充当金

 

 

 

 

未納法人税()

△   4,500

△  4,500                          

未納道府県民税

△    250

△    250

未納市町村民税

△    600

△    600

合計額

 

5,350 

5,710

11,060

 ※現在の正式名称は、「未納法人税及び未納地方法人税」ですが、略しました(以下、同じ。)。 

 

 第2期の税金支払いの仕訳は、次のようになります。

(借)法人税等(※) 6,550 (貸)現金預金 6,550

※正式名称は、「法人税、住民税及び事業税」

 

 会計上の費用である法人税等6,550のうち、法人税4,500と法人県民税・法人市民税850は損金とならないので、別表四で加算・留保に記入されます。中間の法人事業税1,200は損金となるので、別表四で加算はされません。事業税のうち250は還付になりますが、税務上は、それにもかかわらず1,200全額が損金となります。

 

 別表五(一) では、中間の抽象的・観念的・正確な租税債務の発生を示すため、未納法人税・未納道府県民税・未納市町村民税の増加欄に△印で記入します。これらは、会計上の仕訳とは結びつきません。一方、未納法人税4,500、未納道府県民税250、未納市町村民税600は支払済みのため、それらの減少欄に△印で記入します。△の利益積立金の減少なので、別表四の加算・留保と対応します(上記の別表五(一)では、わかりやすくするため、網掛けで示しました。)。

 

 以上が中間納付額の記入方法です。この設例では、もう1つ、還付法人税等の処理があります。税務上、期末の租税債務は利益積立金から差し引かれますが、その逆で、期末の租税債権は利益積立金に含められます。したがって、別表五(一)では未収還付法人税、未収還付道府県民税、未収還付市町村民税は、利益積立金の増加欄に記入されます。これらの租税債権は、抽象的・観念的・正確なものであり、具体的な会計処理とは結びつかないので、未収還付法人税等の当期の増加は別表四の留保とは無関係になります(上記の別表五(一)では網掛けなし。)。

 

 実務上は、別表四の所得金額・留保15,350=別表五(一)の増加10,000-減少合計△5,350というチェックを行います。網掛けの部分です。設例2、設例3でも同様のチュックを行います。

 

設例1 第3期の別表四

       

  

       

  

社外流出

当期利益

200

200

 

加算

 

 

 

 

減算

中間納付還付金額

1,060

1,060

 

所得金額

860

860

 

 

設例1 第3期の別表五() 

     

期首利益積立金

当期の増減

翌期首利益積立金

     減

      増

未収還付法人税

850

850

 

 

未収還付道府県民税

60

60

 

 

未収還付市町村民税

150

150

 

 

繰越損益金

10,000

10,000

10,200

10,200

納税充当金

 

 

 

 

未納法人税

                                         △     

未納道府県民税

未納市町村民税

合計額

 

11,060

10,200

10,200

 

 第3期においては、税金の還付時に、次の処理が行われています。

(借)現金預金 1,310 (貸)法人税等還付税額 1,310

 還付額のうち、法人税850、法人県民税60、法人市民税150は、益金とはならないので、別表四でその分を減算します。法人事業税の還付額250は益金となるので、別表四で減算はしません。

 

 「法人税等還付税額」は、損益計算書上、「法人税、住民税及び事業税」の次に表示します。ただし、金額の重要性が乏しい場合には、「法人税、住民税及び事業税」に含めて(から差し引いて)表示することができます。

 

 別表五(一) で、未収還付法人税850、未収還付道府県民税60、未収還付市町村民税150を減少欄に記入します。キャッシュで入金になったので、未収としての利益積立金は減少したことになるからです。そして、別表四の留保・減算欄と対応します(上記の別表五(一)では網掛けで表示)。

 

 実務上は、別表四の所得金額・留保△860=別表五(一)の増加10,200-減少合計11,060というチェックを行います。網掛けの部分です。設例2、設例3でも同様のチェックを行います。

 

 

・設例2(未収還付法人税等の計上を正確に行う場合)

 

(設例2) (設例1との相違点のみ記載)

 第2期において、未収還付法人税等の計上を行うこととする。したがって、第2期の利益は、次のようになる。

当期純利益11,310  繰越利益剰余金11,310

(設例2の利益11,310=設例1の利益10,000+未収税金1,310)

 

 第3期の利益は、次のようになる。

当期純損失1,110  繰越利益剰余金10,200

(設例2の損失1,110=設例1の利益200-未収税金1,310)

(設例2の繰越利益10,200=第2期利益11,310-第3期損失1,110)

 

 第2期と第3期の別表四と五(一)は、どのようになりますか。

 

設例2 第2期の別表四

       

  

       

  

社外流出

当期利益

11,310

11,310

 

加算

損金経理法人税

4,500

4,500

 

損金経理県市民税

850

850

 

減算

仮払税金認定損

1,310

1,310

 

所得金額

15,350

15,350

 

 

設例2 第2期の別表五()

     

期首利益積立金

当期の増減

翌期首利益積立金

     減

     増

未収還付法人税

 

 

850

850

未収還付道府県民税

 

 

60

60

未収還付市町村民税

 

 

150

150

仮払税金

 

 

1,310

1,310

繰越損益金

 

 

11,310

11,310

納税充当金

 

 

 

 

未納法人税

△   4,500

△ 4,500                           

未納道府県民税

△    250

△    250

未納市町村民税

△    600

△    600

合計額

 

5,350

5,710

11,060

 

 第2期は、次の仕訳を行っています。

(借)未収還付法人税等 1,310 (貸)法人税等還付税額 1,310

 したがって、当期純利益はその額の分だけ多くなっています。ところが、別表四の加算を見ると、中間の税額(事業税を除きます。)を総額で明示するため、設例1と同じ記入になっています。そこで、未収還付法人税等に計上した1,310を、別表四で減算します。還付額1,310については、当期利益と減算に両建て計上されていることになります。

 

 さて、別表五(一)ですが、その区分に新しい項目である仮払税金が記載されています。仮払税金と未収の税金の意味をまとめると、次のとおりです(※)。①の仮払税金は、たとえ②と同額を計上したとしても、あくまで分けて考えるわけです。

①  仮払税金=見積額である会計上の未収還付法人税等=納税充当金の逆

②-1 未収還付法人税=抽象的・観念的・正確な法人税の確定額=未納法人税の逆

②-2 未収還付道府県民税=抽象的・観念的・正確な法人県民税の確定額=未納道府県民税の逆

②-3 未収還付市町村民税=抽象的・観念的・正確な法人市民税の確定額=未納市町村民税の逆

※会計上の「未収還付法人税等」の税務上の用語は「仮払税金」で、別表五(一)の「未収還付法人税」などではありません。まぎらわしいので、ご注意ください。

 

 第2期別表五(一) では、会計上の未収還付法人税等(税務上は仮払税金)1,310は、正確な額が計上されるとは限らないので、いったん利益積立金のマイナスと考えます。そして、改めて、正確な額とされた未収還付法人税850、未収還付道府県民税60、未収還付市町村民税150を利益積立金の増加として計上します。

 

設例2 第3期の別表四

       

  

       

  

社外流出

当期利益

1,110

1,110

 

加算

仮払税金還付額

1,310

1,310

 

減算

中間納付還付金額

1,060

1,060

 

所得金額

860

860

 

 

設例2 第3期の別表五()

     

期首利益積立金

当期の増減

翌期首利益積立金

     減

      増

未収還付法人税

850

850

 

 

未収還付道府県民税

60

60

 

 

未収還付市町村民税

150

150

 

 

仮払税金

1,310

1,310

 

 

繰越損益金

11,310

11,310

10,200

10,200

納税充当金

 

 

 

 

未納法人税

                                              

未納道府県民税

未納市町村民税

合計額

11,060

11,060

10,200

10,200

 

   第3期は、次の処理となります。

(借)現金預金 1,310 (貸)未収還付法人税等 1,310

 会計上は、還付額を収益に計上していません。しかし、別表四で、税務上は総額で示すため、いったん還付額合計1,310を益金として加算します。そして、法人税・法人県民税・法人市民税の合計1,060を減算します。つまり、1,060は、加算と減算で両建て計上されています。差額250は事業税の還付額であり、これは入金時に益金となるので、加算には計上しますが、減算には計上しません。

 

 第3期は、未収計上した法人税等の還付額がキャッシュで入金されました。租税債権が回収されたということです。そこで、別表五(一)では、期首に計上されている利益積立金(未収還付法人税850、未収還付道府県民税60、未収還付市町村民税150)とマイナスの利益積立金(仮払税金△1,310)とを共に解消させるため、いずれも当期の減少欄に記入します。これにより、それらは0となります。

 

  

・設例3(未収還付法人税等の計上を概算で行う場合)

 

(設例3) (設例2との相違点のみ記載)

 第2期において、未収還付法人税等の概算1,200計上を行うこととする。したがって、第2期の利益は、次のようになる。

当期純利益11,200  繰越利益剰余金11,200

(設例2の利益11,200=設例2の利益11,310-未収計上差額110)

 

 第3期の利益は、次のようになる。

当期純損失1,000  繰越利益剰余金10,200

(設例3の損失1,000=設例2の損失1,110+未収計上差額110)

(設例3の繰越利益10,200=第2期利益11,200-第3期損失1,000)

 

 第2期と第3期の別表四と五(一)は、どのようになりますか。

 

設例3 第2期の別表四

       

  

       

  

社外流出

当期利益

11,200

11,200

 

加算

損金経理法人税

4,500

4,500

 

損金経理県市民税

850

850

 

減算

仮払税金認定損

1,200

1,200

 

所得金額

15,350

15,350

 

 

設例3 第2期の別表五()

     

期首利益積立金

当期の増減

翌期首利益積立金

     減

     増

未収還付法人税

 

 

850

850

未収還付道府県民税

 

 

60

60

未収還付市町村民税

 

 

150

150

仮払税金

 

 

1,200

1,200

繰越損益金

 

 

11,200

11,200

納税充当金

 

 

 

 

未納法人税

△   4,500

△ 4,500                          

未納道府県民税

△    250

△    250

未納市町村民税

△    600

△    600

合計額

 

5,350

5,710

11,060

 

 

 第2期は、概算計上で、次の仕訳を行います。設例2と比べると、未収計上が110少なくなるので、当期純利益も110少なくなります。

(借)未収還付法人税等 1,200 (貸)法人税等還付税額 1,200

 

 別表四は、設例2と比べると、当期利益が110少なく、また、減算の仮払税金認定損も110少なくなります。別表四の他の箇所は同じです。別表五(一)は、設例2と比べると、仮払税金と繰越損益金がそれぞれ110異なります。別表五(一)の他の箇所は同じです。

 

設例3 第3期の別表四

       

  

       

  

社外流出

当期利益

1,000

1,000

 

加算

仮払税金還付額

1,200

1,200

 

減算

中間納付還付金額

1,060

1,060

 

所得金額

860

860

 

 

設例3 第3期の別表五() 

     

期首利益積立金

当期の増減

翌期首利益積立金

     減

      増

未収還付法人税

850

850

 

 

未収還付道府県民税

60

60

 

 

未収還付市町村民税

150

150

 

 

仮払税金

1,200

1,200

 

 

繰越損益金

11,200

11,200

10,200

10,200

納税充当金

 

 

 

 

未納法人税

                                              

未納道府県民税

未納市町村民税

合計額

11,060

11,060

1,200

10,200

 

 第3期は、次の処理となります。設例2と比べると、収益が110増えるので、当期純損失は110減ります。

(借)現金預金 1,310 (貸)未収還付法人税等 1,200

              法人税等還付税額  110

 

 第3期は、設例2と比べると、別表四の当期利益と仮払税金還付額、別表五(一)の仮払税金と繰越損益金が、いずれも110異なります。他の箇所は同じです。

 

 

・まとめ

 

 

 

 

当期純利益

=当期利益

所得金額

法人税等還付税額

=未収還付法人税等

=仮払税金

繰越利益剰余金期末残

=繰越損益金期末残

利益積立金期末残

設例1

2

10,000

15,350

0

10,000

11,060

3

200

860

0

10,200

10,200

設例2

2

11,310

15,350

1,310

11,310

11,060

3

1,110

860

0

10,200

10,200

設例3

2

11,200

15,350

1,200

11,200

11,060

3

1,000

860

0

10,200

10,200

  

  会計上の当期純利益は、未収還付法人税等をいくら計上するかによって異なってきますが、どのような方法であっても第2期と第3期を合計すれば同じとなります。

設例1:第2期10,000+第3期200=10,200

設例2:第2期11,310+第3期△1,110=10,200

設例3:第2期11,200+第3期△1,000=10,200

 それに対して、税務上の金額を見てみます。設例1~設例3いずれも、別表四最下部の所得金額は、第2期15,350、第3期△860で、どの設例も同じです。

 

 次に、別表五(一)ですが、第2期の仮払税金(=会計上の未収還付法人税等)と繰越損益金(=会計上の繰越利益剰余金)の期末残高の合計は、次のように、どの方法でも10,000で一致しています。仮払税金を多く立てれば繰越損益金は多くなるし、仮払税金を少なく立てれば繰越損益金も少なくなるという関係です。

 税務上は、仮払税金を、正確な額が計上されるとは限らないので、利益積立金のマイナスと見ます。税務上は、仮払税金も繰越損益金も、どちらも利益積立金に変わりはなく、その内訳が変わるだけです。

設例1:仮払税金0+繰越損益金10,000=10,000

設例2:仮払税金△1,310+繰越損益金11,310=10,000

設例3:仮払税金△1,200+繰越損益金11,200=10,000

 

 第3期の法人税等は0と仮定しているので、設例1~設例3いずれも、第3期末の繰越利益剰余金は同じで、10,200となります。したがって、第3期の別表五(一)の繰越損益金の期末残高も、どの方法であっても10,200となります。

 

 利益積立金の期末残も、どの方法を採っても、第1期は11,060、第2期は10,200で、一致しています。

 

 以上まとめると、未収還付法人税等をいくら計上するかは、会計上の問題です。それによって、公平を重視する税務の金額が異なることはありません。税務上の所得金額・利益積立金額・税額は、未収還付法人税等の計上額という会計処理の違いによっては左右されないということです。税務の論理が、しっかり貫かれていると思います。

 

 

※本稿は、次の拙稿をもとに、大幅に加筆修正したものです。

寺田誠一稿『会計と税務の交差点スッキリ整理! 第2回 「還付法人税等」の首尾一貫』月刊スタッフアドバイザー 2011年(平成23年)9月号

 

 

※4項目について、「会計と税務の未払・未収税金4項目の関係…利益積立金の増減」参照。 

※未払法人税等(納税充当金)の計上については、「未払法人税等を未計上・計上・概算計上の申告書設例」参照。 

※未収還付源泉所得税(仮払税金)の計上については、「未収還付源泉所得税を未計上・計上の申告書設例」参照。

※このウェブサイトの趣旨については、「ご挨拶」参照。