「振込手数料の会計処理(仕訳)とインボイス対応」

 

2020年(令和2年)1月4日(最終更新2025年2月4日)

寺田 誠一(公認会計士・税理士)

 

 

・振込手数料の負担先――受取側(売り手)か、それとも支払側(買い手)か

 

    商品などの売買代金の決済は、かっては現金・小切手・手形などでしたが、現在では振込みがよく使われています。振込みをする場合には、通常、金融機関の手数料、すなわち振込手数料がかかります。それを負担するのは、受取側(売り手)かそれとも支払側(買い手)かという問題があります。

 受取側(売り手)が振込手数料を負担する場合には、代金から振込手数料を差し引かれた額が振り込まれます。受取側は、振込手数料の金額だけ少ない入金となります。支払側(買い手)が振込手数料を負担する場合は、代金がそのまま振り込まれます。

 

 実務では、今まで、振込手数料を差し引く、すなわち受取側が負担することが多かったと思います。受取側が営業マンなどを使って集金する場合には、集金のためのコストがかかります。振込の場合には受取側にその集金コストがかからないので、その代わり振込手数料を負担するという考え方だと思います。

 近年は、振込手数料を差し引かないで、支払側が負担するケースも多くなってきました。「振込手数料は、お客様負担でお願い致します。」「振込手数料は、貴社にてご負担願います。」などと付記し、つまり振込手数料を差し引かないで請求額そのまま振り込むよう依頼する請求書も増えてきました(振込手数料が少額になってきたということもあると思います。)。

 

 なお、次のようなものは、振込手数料を差し引かないで請求額をそのまま支払う、すなわち支払側が負担するという慣例になっているようです。

① 各種団体の会費

② 土地や建物の地代家賃

③ 弁護士・公認会計士・税理士・司法書士・社会保険労務士など各種専門家(士業) の報酬

 

 振込手数料を会計処理(仕訳)するににあたり、費用の勘定科目は、支払手数料のほかに通信費雑費なども考えられますが、本稿では「支払手数料」で統一しました。

 

 また、実務上、振込手数料などには、消費税がかかります。本稿の設例では、内税入力方式を採り、消費税区分については、課税売上げは 課売上、課税仕入れは 課仕入、課税対象外(不課税)は 対象外という表示で示しました。

 

 インボイス制度と振込手数料との関連については、本稿末尾の「インボイス制度と受取側(売り手)負担の振込手数料」をご参照ください。

 

 

・仕訳による説明――受取側(売り手)が振込手数料を負担する場合

 

(受取側の処理…売上代金)

 まず、振込手数料を差し引かれて代金が振り込まれる受取側の処理を考えてみます。

 

(設例1)

 得意先より売上代金80,000円が、振込手数料550円を差し引かれ、普通預金に79,450円振り込まれた。

 

 売掛金を計上している場合には、売掛金の入金処理となり、次のような仕訳となります。

(借)普通預金    79,450   (貸)売掛金 80,000

    支払手数料   550 課仕入

 売掛金を計上していない場合(現金主義の場合)には、売上を計上します。

(借)普通預金    79,450    (貸)売  上 80,000 課売上

      支払手数料     550 課仕入

 

    振込手数料550円は、受取側が支払ったものではなく、支払側が金融機関に支払ったものです。しかし、その分、受取側への振込金額が少なくなっています。結局、受取側が負担していることになり、受取側における費用となります。

  

(支払側の処理…仕入代金)

 上記の設例を、反対側すなわち支払側の立場から見てみます。

 

(設例2)

 仕入先に仕入代金80,000円を、振込手数料550円を差し引き、79,450円普通預金より振り込んだ。振込手数料550円は、普通預金より金融機関に支払った。

 

 買掛金を計上している場合には、買掛金の支払処理となり、次のような仕訳となります。

 なお、次の仕訳では、わかりやすく、貸方を79,450円(受取側に支払い)と550円(金融機関に支払い)の2つに分けました。同時に支払う場合には、まとめて貸方80,000円としてもかまいません。以下の仕訳も同じです。

 

 買掛金を計上している場合には、買掛金を取り崩して、次のような仕訳となります。

(借)買掛金 80,000  (貸)普通預金 79,450

                普通預金   550

 買掛金を計上していない場合(現金主義の場合)には、仕入を計上します。

(借)仕 入 80,000 課仕入 (貸)普通預金 79,450

                     普通預金    550

 

 振込手数料は、代金より差し引いているので、支払側の費用とはなりません。

 

 (支払側の処理…経費)

 支払側が、仕入代金ではなく、経費の場合も同様です。次の設例のとおりです。

 

(設例3)

 請求書80,000円の〇〇費(課税仕入れ)を、振込手数料550円を差し引き、79,450円普通預金より振り込んだ。振込手数料550円は、普通預金より金融機関に支払った。

 

 未払金を計上している場合には、未払金を取り崩して、次のような仕訳となります。

(借)未払金 80,000  (貸)普通預金 79,450

                普通預金     550

 未払金を計上していない場合(現金主義の場合)には、費用計上します。

(借)〇〇費 80,000 課仕入 (貸)普通預金 79,450

                     普通預金       550

 

 

・仕訳による説明――支払側(買い手)が振込手数料を負担する場合

 

(受取側の処理…売上代金)

 

(設例4)

 得意先より売上代金80,000円が、普通預金に振り込まれた(振込手数料は差し引かれていない。)。

 

 売掛金を計上している場合には、次のような仕訳となります。

(借)普通預金  80,000  (貸)売掛金 80,000

 

 売掛金を計上していない場合(現金主義の場合)には、次のとおりです。

(借)普通預金 80,000  (貸)売  上 80,000 課売上

 

 受取側は、振込手数料を負担していないので、支払手数料という費用は生じません。

 

(支払側の処理…仕入代金)

 

(設例5)

 仕入先に仕入代金80,000円を、普通預金より振り込んだ。振込手数料500円は、当方負担とし、普通預金より金融機関に支払った。

 

 買掛金を計上している場合は、次のような仕訳となります。

(借)買掛金   80,000    (貸)普通預金    80,000

     支払手数料        550 課仕入     普通預金     550

 

 買掛金を計上していない場合(現金主義の場合)は、次のとおりです。

(借)仕  入    80,000 課仕入 (貸)普通預金 80,000

     支払手数料        550 課仕入     普通預金    550

 

 振込手数料は、支払側で負担したので、支払側で費用として計上されます。

 

(支払側の処理…経費)

 支払側が、仕入代金ではなく、経費の場合も同様です。次の設例のとおりです。

 

(設例6)

 請求書80,000円の〇〇費(課税仕入れ)を、普通預金より振り込んだ。振込手数料550円は、当方負担とし、普通預金より金融機関に支払った。

 

 未払金を計上している場合は、次のような仕訳となります。

(借)未払金    80,000    (貸)普通預金 80,000

     支払手数料     550 課仕入    普通預金    550

 

 未払金を計上していない場合(現金主義の場合)は、次のとおりです。

(借)〇〇費    80,000 課仕入 (貸)普通預金 80,000

     支払手数料     550 課仕入     普通預金    550

 

 

振込手数料の後払い

 

 支払側が振込手数料を金融機関に支払う時期ですが、振込時ではなく、翌月など後日まとめて払う場合があります。その場合の処理を、買掛金の設例で考えてみます。

 

受取側が振込手数料を負担する場合)

 

(設例7)

 仕入先に仕入代金80,000円を、振込手数料550円を差し引き、79,450円普通預金より振り込んだ。振込手数料550円は、翌月、金融機関に支払う予定である。

 

 買掛金を取り崩して支払った場合の仕訳を示してみます。

(借)買掛金 80,000 (貸)普通預金79,450

             未払金   550

 

 この場合、下記のように処理したのでは買掛金が550円残ってしまうので、上記のような処理が妥当です。もちろん、下記の処理でも、振込手数料を支払ったときに、残りの買掛金550円を取り崩すので、そのとき買掛金は0になります。しかし、それまでの間、買掛金が残ってしまうので、上記のように振込時に買掛金を0にし、振込手数料分を未払金に振り替えておく方が望ましい処理です(月次では未払を計上しない下記の処理でも、少なくとも決算時には未払計上が必要です。)。

(借)買掛金 79,450 (貸)普通預金 79,450

 

 受取側(売り手)は、次のとおり、通常の処理です。

(借)普通預金   79,450    (貸)売掛金 80,000  

  支払手数料    550 課仕入             

 

 

支払側が振込手数料を負担する場合)

 

(設例8)

 仕入先に仕入代金80,000円を、普通預金より振り込んだ。振込手数料550円は、翌月、金融機関に支払う予定である。

 

(借)買掛金  80,000    (貸)普通預金    80,000

     支払手数料     550 課仕入     未払金        550

 

 振込手数料を支払側が負担する場合も、振込みという役務の提供は終わっているので、支払手数料の未払計上が妥当です。ただし、重要性の原則の適用により、未払金計上をしないで、翌月支払時の費用とすることも考えられます。

 

  受取側(売り手)は、次のとおり、通常の処理です。

(借)普通預金   80,000    (貸)売掛金 80,000 

 

 

振込手数料が実額でない場合

 

 支払側が振込手数料を差し引く場合(すなわち、受取側が振込手数料を負担する場合)に、実際の額ではなく、それより多い一律に決めた額で統一的に差し引く場合があります。実際に必要な振込手数料の額を調べ、その額で差し引くのは面倒というような場合です。

 

 また、実際に支払う金額で差し引くつもりでも、次のような場合に、予定した額よりも実際の振込手数料の金額が少なく済んだという場合もあります。

① 振込金額が少なかったため

② 同じ金融機関の支店間であったため

③ ATMやネットバンキングを利用したため

④ 単純に、誤ったため

 

 支払側が振込手数料を差し引く場合に、差し引いた金額よりも実際の振込手数料金額の方が少なかった場合、つまり過大に振込手数料を差し引いた場合の処理を見ていきます。

 

(設例9)

 仕入先に仕入代金80,000円を、振込手数料分550円を差し引き、79,450円普通預金より振り込んだ。ただし、実際の振込手数料は440円であり、普通預金より金融機関に支払った。

 

 買掛金の例で、仕訳を示してみます。

(借)買掛金 80,000  (貸)普通預金   79,450

               普通預金    440

               雑収入     110 対象外

 振込手数料550円を差し引いたのに、実際には440円しか必要ではなかったので、差額110円は支払側の利益となります。したがって、その差額は、雑収入に計上します(消費税区分は、受贈益や受取寄付金と同様、課税対象外(不課税)と考えられます。)。

 

 この場合の受取側(売り手)の処理を考えてみます。

(借)普通預金   79,450    (貸)売掛金 80,000  

  支払手数料    440 課仕入             

  雑損失      110 対象外

 実際の支払手数料は課税仕入れとなりますが、そうでない額は寄付金扱いで課税対象外と考えられます。

 

 なお、実務では、振込手数料の金額のチェックを行わず、売掛金の金額と振り込まれた金額との差額を支払手数料としている場合が多いと思われます。 次のような処理です。 このような場合、僅少な額ですが、勘定科目と消費税の問題が生じます(110円は本来、雑損失で課税対象外)。

(借)普通預金   79,450    (貸)売掛金 80,000  

  支払手数料     550 課仕入             

 

 

 ごくまれでしょうが、差し引いた振込手数料よりも、実際の振込手数料の方が多かったというケースも考えられます。

 

(設例10)

 仕入先に仕入代金80,000円を、振込手数料分550円を差し引き、79,450円普通預金より振り込んだ。ただし、実際の振込手数料は660円であり、普通預金より金融機関に支払った。

 

(借)買掛金   80,000    (貸)普通預金 79,450

     支払手数料      110 課仕入      普通預金     660

 この場合には、振込手数料を差し引くのが少な過ぎたわけであり、差額110円は支払側の費用となります。

 

 受取側(売り手)の処理は、次のとおりです。

 (借)普通預金   79,450    (貸)売掛金 80,000  

  支払手数料     550 課仕入             

 

 

・仕訳による説明――受取側(売り手)が振込手数料を負担する場合(別法

 

 受取側が振込手数料を負担する場合と同じ設例1ですが、別法を考えてみます。

(設例1)

 得意先より売上代金80,000円が、振込手数料550円を差し引かれ、普通預金に79,450円振り込まれた。

 

 差し引かれた額を、費用(支払手数料など)ではなく、売上の値引きと見て売上のマイナスとする考え方があります。すなわち、借方の勘定科目を「売上値引」(または、「売上」)とする方法です。

 

 この考え方では、設例の仕訳は、次のようになります。

(借)普通預金    79,450   (貸)売掛金 80,000

      売上値引      550 課売上

 

 売掛金を計上していない場合(現金主義の場合)には、次のようになります。

(借)普通預金    79,450    (貸)売  上 80,000 課売上

      売上値引        550 課売上

 売掛金を計上していない場合(現金主義の場合)には、振込手数料を当初から差し引いた売上の純額処理も考えられます。

(借)普通預金    79,450  (貸)売  上 79,450 課売上  

 

 しかし、振込手数料を売上値引きと見る考え方は、次のように、現在の会計の考え方や商慣習と合致せず、疑問です。

① 売掛金の振込みは翌月が多いので、売上の確定が遅れます。振込手数料の額だけ売上が減少し、また、売上に100円や10円単位の端数が出てしまいます。

② 振込みは、代金の回収プロセスの事象であり、販売プロセスの事象ではありません。回収(集金)のための販売コスト(販売費及び一般管理費)というのが、通常の考え方です。

③ 上場会社などに適用される「収益認識会計基準」においても、取引価格の変動とは捉えられないと思います。

④ 実務上、この売上値引処理を採っている事業者は少ないと思われます。

 

 ただし、消費税について簡易課税を採っている場合には、課税売上が減るので、消費税納付額が減少する可能性があります。。

 

 

・インボイス制度と受取側(売り手)負担の振込手数料

 

 2023年(令和5年)10月からは、消費税の仕入税額控除をするためには、原則、インボイス(適格請求書)の保存が必要となりました(消費税は、ごく簡単に言うと、預かった消費税から支払った消費税を差し引いて、残額を国へ納めます。支払った消費税を差し引くことを「仕入税額控除」と言いますが、そのためには、原則、インボイスが必要です。)。

 

 受取側(売り手)が振込手数料を負担した場合、すなわち、振込手数料を差し引かれて振り込まれた場合、受取側(売り手)がインボイス(明細書)を支払側(買い手)から受け取るということは、実務上、難しいと思われます。 したがって、受取側が支払手数料(通信費・雑費)として処理しても、原則、仕入税額控除できないということになります。

 

 この税務上の問題点を解決するため、2つの特例措置ができました。

 

① 少額の返還インボイス交付義務の免除の適用期限のない恒久的な措置

 

 返品や値引きの場合も、原則、インボイスが必要です。ただし、税込み10,000円未満の少額の返品等の場合には、インボイスの交付義務がありません。つまり、インボイスなしでも帳簿への記載だけで預かった税額の減少が認められるという取扱いがあります。

 振込手数料は、当然、10,000円未満です。したがって、この取扱いに当てはめようというものです。

 

 ①-1:受取側が、勘定科目を、支払手数料ではなく、売上高のマイナス(勘定科目は「売上値引」または「売上」)として処理すれば、10,000円未満の対価の返還等に該当するので、インボイスなしでも税額の減少が認められます。

 上記の設例1の別法の会計処理(仕訳)を行うことになります。

(借)普通預金    79,450   (貸)売掛金 80,000

      売上値引      550 課売上

 

 ①-2:会計処理(仕訳)では支払手数料(通信費・雑費)としても、消費税法上は売上高のマイナスとして取扱うことも可能となりました。具体的には、仕訳時に消費税の区分を、「課税仕入れ」ではなく、「課税売上げのマイナス」とします。したがって、売上が食料品などの軽減税率8%でしたら、その代金の振込手数料も「課税売上 軽減税率8%」のマイナスとなります。

(借)普通預金    79,450   (貸)売掛金 80,000

      支払手数料     550 課売上

 

 ①-1については、税務が特定の会計処理を誘導(上述のとおり会計の通常の考え方は費用処理なのに、税務が売上値引処理を推奨)してよいのかという疑問があります。①-2については、勘定科目(費用)と消費税区分(課税売上のマイナス)とが論理的に対応しないので、違和感があります。

 

 ただし、実務では、税務を重視するので、この①-1または①-2の処理が増えてくると思われます。

 

 ①-1の売上値引処理は、上述の設例1の別法で述べたとおり、疑問です。

 

 ①-2では、従来ほとんどの事業者が採っていた会計上の費用処理(支払手数料など)が継続できます。変更するのは、消費税区分だけなので、まだ抵抗が少ない方法だと思います(もちろん、差し引かれた振込手数料が実額であることが前提です。)。したがって、実務上、どちらかと言うと①-2になると思います。

 ①-2は、会計ソフトで、そのような受取側負担の振込手数料について、「振込手数料」と摘要などに入力すると消費税区分が自動的に「課税売上のマイナス」となるように紐づけができると、時間短縮になります。

 

② 一定規模以下の事業者の少額特例6年間の時限措置(事業年度にかかわらず、2023年10月1日~2029年9月30日の期間の取引)

 

 前々年度の課税売上1億円以下(または、前年度の前半6か月間の課税売上5千万円以下)の事業者は、課税事業者への1回の支払金額合計が税込10,000円未満の取引については、インボイスの保存がなくても、帳簿への記載のみで仕入税額控除が認められます。これに該当すれば(振込手数料は10,000円以下なので、実際の条件は課税売上1億円以下等です。)、受取側が負担した振込手数料を、支払手数料(通信費・雑費)として仕訳して、消費税も課税仕入れとしても、仕入税額控除が可能となります。

 

 つまり、会計処理(仕訳)としては、設例1のままということです。

(借)普通預金    79,450   (貸)売掛金 80,000

    支払手数料   550 課仕入

 

  これらの事業者は、この少額特例を使えば、6年間は今までどおり、費用(支払手数料など)処理ができます。6年経過後、どのような取扱いになるかはまだ未定です。

 

 いずれにしても、今後、振込手数料の商慣習としては、支払側(買い手)負担という方向に行くのではないかと思います。その理由は、次のとおりです。

① 振込手数料が少額になっているので、支払側の大きな負担では無くなってきています。

② 下請法4条1項3号では、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、親事業者が発注時に定めた下請代金の額を減ずることを禁止しています。もう少し詳しく言うと、発注前に書面で合意していない場合には、振込手数料を下請代金から差し引くことは下請法違反となります。

③ 商法516条は、商行為によって生じた債務の履行場所について、当事者の意思表示によって定まらない場合には、債権者の現在の営業所としています。また、民法484条1項では、弁済の場所は当事者の意思表示がないときは債権者の現在の住所、民法485条では、弁済の費用は債務者の負担としています。すなわち、法律上、振込手数料は支払側(買い手)の負担が原則となっています。

 

 したがって、振込手数料の受取側負担の場合の勘定科目や消費税の問題は、次第に無くなっていくと思われます。支払側負担にすれば、支払側は金融機関からインボイス(振込手数料の計算書)を受け取ることができるので、仕入税額控除が可能です。

 

 

※本稿は、次の拙稿拙著を加筆修正し、さらに消費税とインボイスの処理を追加したものです。

寺田誠一稿『経理の疑問点スッキリ解明 第1回 振込手数料』月刊スタッフアドバイザー 2009年(平成21年)4月号

寺田誠一著『事典はじめてでもわかる簿記』(第9章 振込手数料の仕訳) 中央経済社 1997年(平成9年)

 

 

※インボイス制度の原則と特例に分けた段階的な説明(数値例も含む。)については、「インボイスのステップ式解説と取引先対応」参照。 

※インボイス制度のごく簡単なまとめについては、「A4 1枚で理解するインボイスの初歩」参照。

※電子帳簿保存法のごく簡単な解説については、「A4 1枚で理解する電帳法の初歩」参照。

※消費税の実務的な入力方法については、「税込経理方式・税抜経理方式と消費税内税入力・決算整理」参照 。

※複合仕訳から単一仕訳へ分解する3つの方法については、「複合仕訳の単一仕訳への分解」参照。

※このウェブサイトの趣旨については、「ご挨拶」参照。