「A4 1枚でわかる簿記②…借方・貸方の意味と覚え方」
2019年(令和元年)8月15日(最終更新2023年11月19日)
寺田 誠一(公認会計士・税理士)
・借方、貸方の意味
今まで、左側と右側ということで説明してきましたが、簿記では借方(かりかた)・貸方(かしかた)という用語を使います。「貸借(たいしゃく)が合わない」といえば、左側と右側が合わないという意味です。
借方・貸方のもとの意味は、15世紀にイタリアで簿記が発明された頃にさかのぼります。その頃、相手先ごとに個人別の帳簿を付けており、たとえば、甲にお金を貸した場合には、個人別帳簿の甲のページの左側に記入し、甲が借り主であることを示しました。これが借方の起源です。
また、乙からお金を借りた場合には、個人別帳簿の乙のページの右側に記入し、乙が貸し主であることを示しました。これが、貸方の起源です。
現在では、借方・貸方は、単に、左側・右側を意味しているだけですが、簿記や会計・経理では、慣例として、今でも、借方・貸方という語が用いられます。ですから、借方とは左側のこと、貸方とは右側のこと、と覚えておく必要があります。
・借方、貸方の覚え方
簿記の初心者は、借方が左、貸方が右と覚えるのに、なかなか苦労します。この覚え方には、いろいろな方法がありますが、そのうち3つご紹介します。。
① 「かりかた」の「り」は「ひだり」の「り」、「かしかた」の「し」は「みぎ」の「ぎ」の一部と覚える方法。
② 神社の鳥居(とりい)(または、漢字の「火」「天」「人」)の連想で、「かりかた」は左、「かしかた」は右と覚える方法。
③ ②と同様ですが、さらに単純に、「かりかた」の「り」の字 は左にカーブしている(はねている)、「かしかた」の「し」の字は右にカーブしている(はねている)と覚える方法。
※本稿は、次の拙著・拙稿をもとに、大幅に加筆修正したものです。
寺田誠一著 『ファーストステップ会計学 第2版』東洋経済新報社2006年 「第1章 会計学のための簿記入門」
寺田誠一著『事典 はじめてでもわかる簿記』中央経済社1997年 「第1章 簿記は仕訳から」
寺田誠一稿『聞くに聞けない会社経理のキホン 第1回 経理課の役割と簿記の基本』月刊スタッフアドバイザー 2004年10月号
※このウェブサイトの趣旨については、「ご挨拶」参照。